Suspension
ピロブッシュ/ピロボールジョイント!-3
▲ピロブッシュ/ピロボールジョイント
サスペンションアームは、純正でブッシュと呼ばれるジョイントで可動する様になっています。
人間でいえば関節の様なものです。
サスペンションアームは、ボディーとナックル側にそれぞれ固定され、このブッシュを基点にタイヤホイールと一緒に走行時に上下に動いています。
ゴムブッシュというジョイントは回転する機能は無いため、アームの動きに合わせ、ゴム部のネジレを利用して動いています。
ネジレを発生させているということは、常に元に戻ろうとする力が発生しているということになります。
1G(車両の走行状態)でアームを締め付けするということを聞いたことがあるかもしれません。0G(リフトアップ時)はタイヤがぶれ下がった状態で、0Gでアームアームを締め付けすると、リフトから降ろした時(1G状態)ではすでにネジレが大きく発生していて、最悪はネジレ過ぎにより、ゴムブッシュが破損してしまいます。
タイヤで上げられるリフトか、地下ピットなどが無いとこの作業は簡単にはできません。
車のサスペンションは、色々な部品や機能で乗り味や操作性が作り出されています。ただ単に、固くする事が良いとは限りません。
このサスペンションピロブッシュは、ゴムブッシュ部分をピロボールジョイントに変える事で、ネジレによる抵抗と戻り時に発生する反発力をゼロにして、サスペンションの動きをよくするためのパーツです。
自由に動くサスペンションピロブッシュは、ネジレが発生しないため、どのように装着しても車高も一定し、操作性にも悪い影響を与えません。 タイヤの接地感、サスペンションの動きなど、驚くほどよくわかるようになります。
Porsche ポルシェ 930 ピロアッパーマウント!
▲Porsche ポルシェ 930 ピロアッパーマウント
純正は、スチールのハウジングとラバーブッシュでできています。キャンバー調整はできません。 形状が特殊で、ボディー側の湾曲した面にあった形状でできています。厳密には、取付して締め上げると、ボディーにフィットする感じです。
Biotでは、他車のストラットタイプのサスペンションと同様に、キャンバー調整式のピロアッパーマウントを設定しました。 ゼロから、ニーズに合わせて設計し、製品化しました。 製作は大変ですが、世の中には無いパーツとして、Biotのこれまでの軌跡になるものだと思います。
詳しくは、Porsche ポルシェ 930 ピロアッパーマウントご覧ください。
Ferrari F360 Modena サスペンションキット!-2
特殊な形状のアッパーマウント部、ストロークを確保したまま、減衰力調整機能を持たせる事を考えました。 レースカー等と同じ様なロアボトムと同じ様な形状で製作すると、サスペンションストロークが少なくなり、スプリングを堅くしてストロークを減らす様な方向になってしまいます。
サーキットユースのみでしたら、限られた範囲での使用で良い場合もありますが、適度なスプリングレートで使用するには、ショックアブソーバーのストロークを確保してスプリングレートの選択肢を広げる事が重要です。
削り出しで製作しアッパーマウントにピロボールを組込み、ショック上部の調整部が存在する形状です。
ゼロから考え出した形状ですので、他には無い物だと思います。発想を形にする作業、いつも取り組んでいます。
ピロブッシュ/ピロボールジョイント!-2
サスペンションピロブッシュ/ピロボールジョイントの発送までの管理についてです。
ピロブッシュは、1ヶ所のブッシュで、アウターカラー、サイドカラー×2、ピロボールジョイント、スナップリングで構成されています。
▲ピロブッシュ
ブッシュピロボールは、12T~25Tまでがピロブッシュ用として使用されていますので、車種やアームの形状などで使い分けられています。
ピロカラーにプレス機を使用してピロボールを圧入します。ピロボールとピロカラーの圧入部にモリブデングリスを塗布し、カジリを抑えて作業します。
組付けが終わったら、ブレーキキットと同様の組立図を参考に、各部の寸法を計測します。ピロカラーは、純正のアームに圧入しますので、圧入公差をとって設計されているため、ピロボールを圧入後のピロカラーの公差が範囲内にある事を確認します。
サイドカラーも左右に差込み、計測します。その他、穴径、カラーの長さ等を計測し、1set、左右2個で一つの箱に梱包します。ピロブッシュは、車輌への組込作業時にバラバラの状態だと、確認作業に時間が取られてしまうため、1set、左右2個で一つの箱を用意しています。
Porsche 997 サスペンションキット!
ポルシェの997の4WD車用のサスペンションのフロントは、ドライブシャフトの進行方向後方によけて、ナックル取付部に固定されています。 サスペンション上部は、RR車と同じ位置に装着されているため、サスペンションの1G装着状態(通常に走行できる状態)で約10°の角度が付いています。 更に走行状態で、コーナーを曲がる際等の1.5~2G(車輌が傾いた状態)では、更に角度はきつくなり、一般的なピロボールタイプのアッパーマウントではピロボールの作用角を越えてしまいます。 これは、996の4WD車も同じです。 997は、カレラ4もボディーがワイド化されているため、リアにも少し角度が付いています。 Biotでは、純正状態を細かく計測し、必要に応じ純正状態を図面化してこのような製品数値を割り出しています。 サスペンションの製品化にあたり、フロント、リア共に専用のピロアッパーを設定しています。 996/997の4WD車では、ピロアッパーマウント付きの車高調整サスペンションキットは少なく、純正アッパーマウントを使用している物が大半です。 通常の方式で、ピロアッパーマウントを装着するとサスペンションのストローク時に作用角を越えてしまい、ピロボールが破損します。最悪の場合は、シャフト先端が曲がり、折損してしまう可能性も大きい部品です。 もし、当社以外でのピロアッパーマウントを使用されている場合は、確認された方がいいと思います。
ピロボールジョイント!
今日は、サスペンションアームのジョイント部のゴムブッシュのデーター取りです。
画像を張り付け、図面を作成する前に大まかな寸法、特徴などを書き込んだ書類を作成します。 メーカーとして部品を作成すると、元々がどうなっていたかが重要になる場合がほとんどです。 購入されたお客さんからの質問に答えるには、図面よりも早くわかりやすく答えたりできます。 この画像と現品から、図面を起こします。リバースエンジニアリングという作業ですが、自社部品と装着車両や純正部品との組み合わせ図面を作っているメーカーでは必要な作業です。
自社開発をしていない等でしたら、やっていないメーカーもあるのかもしれません。 リバースエンジニアリングには、複雑な形状を計測するために三次元測定機を使います。 うちの会社にある三次元測定は、形状をトレースする機能がついているため、三次元測定機購入後は、リバースエンジニアリングの効率が飛躍的に向上しました。
画像のデジタルノギスは、大きさ別に何種類かを使い、圧入部の公差を計測します。これは、真円でないことと、圧入部の入り口と奥の部分では、5/100程度はみんな異なっています。
こんな作業の延長に、一つの自社製品が出来上がります。
S2000サスペンションオーバーホール!
昨日、サスペンションのOHを行いました。画像はOH前です。
S2000のリア2本でしたが、ショートタイプのサーキットモデルでした。
色々部品等、仕様変更したりしていますが、全部品自社設計ですので、必ず互換部品となる様にしています。
大事に使っていただけるお客さんに感謝です。